母乳が足りない?混合授乳から母乳を増やしたい! 助産院 北野ミッドワイフリー ブログ, 母乳育児, 赤ちゃんとの暮らし

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産院から帰って赤ちゃんと暮らしていると、色々な場面で「母乳が足りないかも」と感じるものです。

一番よく聞かれるのが、「赤ちゃんを置くと泣いてしまう」ときです。授乳すると吸っている間にとろとろ眠ってしまい、「もういいんだな」と思って寝かせるとほんのしばらくして起きて泣く。足りなかったかと吸わせるとすぐに寝て、でまた置くと泣く。この繰り返しで1日が過ぎると。抱いている間は泣かないので、抱きすぎで腱鞘炎になったり、お家のことが何もできないとノイローゼ状態の場合もあります。

そういう赤ちゃんの体重を測ると、もちろん本当に飲めていなくて効果的な授乳についてお話することもありますが、多くは期待値以上に増えていて、何なら飲みすぎで苦しくて泣いている場合もあります。

産まれてすぐの赤ちゃんは食欲中枢と言ってお腹が空いた、いっぱいになったと感知する機能が働いていません。必要な量の母乳を飲んでいても、「目が覚めて抱かれていなくておっぱいが口に入っていなければ泣いてお母さんを呼ぶ」ようにできています。赤ちゃんは自分では何もできず、お母さんが居なければ生きていかれない存在だからです。何か嫌なこと、例えば暑いとか寒いとか、があれば泣いてお母さんを呼び、おっぱいに吸い付くことで癒しを得ます。満腹がわからないので、飲みすぎでお腹が苦しくて泣いているときでも、泣き止む契機はおっぱいという、おバカさんな状態です。

赤ちゃんは一日中抱かれていたい、大人は一人で寝てほしい。だから、なるべく抱かれていると思わせるように寝かせましょう。具体的なテクニックについては「赤ちゃんって、どうしてこんなに泣くの」で解説しています。

赤ちゃんがなかなか寝付いてくれないときに、母乳でお腹がふくれなかったのかと粉ミルクをあげると、とたんにぐっすり寝付いたりします。すると「やっぱり母乳が足りていない」と思いますよね?ところが、例えば同じ量の母乳を搾って飲ませても、そんなにすんなりは寝付かないものです。

人工乳は牛乳が原料です。すごく大きくて胃が4つもある赤ちゃんに飲ませるはずのものですから、脂肪やたんぱく質の粒はとても大きい。日本のミルク会社は頑張って粒を小さくしてくれていますが、母乳に比べるとまだまだ消化しにくい。ミルクがある程度胃に入ると、消化液をたくさん出さなくてはならないので、胃に血液が集まります。すると脳の血流が減るために眠くなるのです。学生時代、午後イチの授業が辛かったり、小さな子どもがご飯の最中にお膳に突っ伏して寝てしまうのと同じ状態です。飲んだ物が違うのであって、量の問題ではないのです。大人から見ると、母乳で育つ赤ちゃんはいつも物足りなそうにみえるのですが、それが人間の赤ちゃんの普通の姿です。

では、産まれてすぐの赤ちゃんが、順調に育っているという目安は何でしょうか?
一番分かりやすいのは「体重」です。前回測った体重と、今日の体重を差し引きし、それを前回からの日数で割る「日増」は、産科の1ヶ月健診や行政の赤ちゃん訪問でもよく使われます。一般に、日増30-45㌘が正常範囲とされますが、これは戦後赤ちゃんの健診がシステム化された頃からの平均値が元になっていて、高度経済成長期に核家族化と産科の新生児室の普及から日本の母乳率が最低になり、大抵の赤ちゃんが粉ミルクをたっぷり飲んでいた頃の数値が反映されているので、必ずしも正しい目安とは言えません。母乳育児で育つ赤ちゃんでは、生後1-2ヶ月は15㌘/日以上増えていれば、最低限の栄養は取れていると言われています。が、私自身が健診の時に「順調に大きくなっているな」と言う印象を持つのは大体日増20-25㌘を超えている赤ちゃんです。それ以下の子は大抵おっぱいの飲み方がちょっと下手です。これは生後2ヶ月頃までのことで、それ以降の日増はぐっと減ります。
新生児は満腹が分からないために、あげるといくらでも飲んでしまうので、中には日増60・80みたいな子もいます。40-45を超えると大抵、吐いたり、唸ったりするので、病気になる心配は無いにしても、少し減らしてあげたいですね。

赤ちゃんにどれだけのミルクをあげるべきか、と言うことについて、混合授乳の家庭でよく誤解されているのが、粉ミルクの缶に表示されている使用量の目安です。「これだけあげなくては」と、ウトウトする赤ちゃんに無理矢理飲ませようとしている方をよく見ますが、この量はミルクを作って売っている会社が、「一人あたりこのくらい飲んでくれるとミルクがよく売れるのになぁ」と、期待する量です。実際は、もっと少なくても普通に育ちます。体重をキロに直して、人工乳の場合150をかけた量、つまり、3000㌘の子なら、450㏄/日程度飲んでいると、大体日増30前後になるようです。余分に飲ませたとき、飲んだ分だけ太る子もいますが、大抵は消化能力を超えた分がウンチに未消化の白いツブツブとして出てくるだけになります。母乳の場合は人工乳より消化・吸収が良いので、かけるのは120でよく、3キロの子で360㏄/日程度が適正量になります。授乳測定(授乳の前後で赤ちゃんの体重を測って差し引きで母乳量を推定すること)で40-50㌘/回あれば、7-8回/日の授乳で充分賄えますね。混合授乳の場合は、飲ませている人工乳の量からこの450-360の間のどこか、と考えれば良いのです。「混合授乳、日増45、足しているミルクが200㏄/日」と言う方なら、多分ミルクはほとんど必要ないでしょう。

また、入る物が無いと出ても来ないので、排泄物、つまりオシッコとウンチの量や質も目安になります。生後3-4日を過ぎても黒緑色の胎便が出ているときは授乳の回数や量が不足しています。生後2-5日頃のまだ飲み始めの頃には、血液が混じっているかと思うほど赤っぽく見える「レンガ尿(尿酸塩尿)」が数日出るのが普通のことですが、それ以降もオシッコの色が濃くて、おむつの上にハッキリと地図が出来る場合は脱水状態と言えますので、母乳が足りていないと考えます。生後10日以上経った赤ちゃんで、体重はそんなに増えていないけれど、オシッコを日に10回以上する、黄色いウンチをたっぷりの量で5-6回以上すると言うことなら、「ちゃんと飲んではいるんだな」と考えます。「飲んでも出ちゃって身になりにくい」子ってたまにいます。ただし、この手の赤ちゃんにはまれに肝臓などに基礎疾患を持つこともあるので、注意が必要です。

混合授乳から母乳の割合を増やしたいとき、まずは効果的な授乳が出来ているかを見直して、抱き方や吸わせ方を改善します。吸わせているときに乳首が痛くないこと、赤ちゃんが口を離したときに、乳首が潰れず円い形のまま出てくること、お母さんが肩こりや腰痛を起こさない姿勢で授乳できていることが大事です。数日経って母子共効果的な授乳が身についたと思ったら、赤ちゃんの体重を量り、今足している量から100㏄/日ほど人工乳を減らしてみましょう。1週間-10日後に日増を計算し、25-30グラム以上有れば、また100減らして、を繰り返して母乳のみ、またはお母さんがベストと思う程度まで減らします。日増が15-25程度の時は、母乳の増加分が減らした人工乳の量に追いつくまで、しばらくキープします。人工乳を減らしたら日増が15を切ったり、乳首が痛くて吸わせられなくなったりするようなら、お母さん自身が気づかない授乳の問題があると考えて、助産所の母乳相談などで診て貰うことをお勧めします。もちろんこれはモデルケースですから、母子の状況に応じてアレンジして構いません。
赤ちゃん用の体重計が無いときは、赤ちゃんを抱いて大人用のはかりに乗り、下ろしてまた乗って差し引きすれば赤ちゃんの体重が分かりますね。次に測ったとき、200㌘増えていたら、7日前なら30/日、10日前なら20/日増えた事になります。この場合少しアバウトになりますから、細かく測るよりも10日-2週間毎にするなど、日数を増やした方が判断しやすいですね。

まずは、お母さん自身の持って生まれた女性としての機能、そして赤ちゃんの本能と生きる力を信じるところから始めましょう。おっぱいが足りない、と訴えて相談に来られても、赤ちゃんもおっぱいも問題なく、結局足りないのはお母さんの「自信」だけ、と言う方が多いですよ。

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