フリースタイル分娩の良さって何?~お母さんにも赤ちゃんにもブログ, 出産 助産院 北野ミッドワイフリー #

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フリースタイル出産って何?」でご紹介したフリースタイル分娩には、大きく4つの利点があります。

一つ目は、産婦さんが楽だと言うことです。
特に膝や股関節に痛みがあったり、上向きで寝るのが苦手な方、同じ姿勢でいるのが嫌いな方には、自由に動けるのが大事なポイントになります。
妊娠後期には仰向けで寝られないという方も多い中、長時間仰向けの姿勢を続けるのは大変ですし、お腹が痛いとき誰でもがするように、辛い陣痛のさなかなら、体を丸めて横になったりうつ伏せになったりするのが自然なことで、分娩台の上で仰向けに体を開くこと自体が大変に不自然と言えます。

二つ目は、産みやすい、産まれやすいと言うことです。
普通使われる分娩台は、産婦さんや赤ちゃんのためにではなく、お産を取り扱う産科医や助産師にとって診やすく、処置がしやすいように使われています。
赤ちゃんが通る産道はお腹の中心から出口に向かってやや前にカーブした作りなので、四つん這いの時には丁度重力を使って「産み落とす」感覚になります。陣痛・お母さんの息み・重力の三つが合わさって最大のパフォーマンスが発揮されます。仰向けに寝てする通常のお産は、それを丁度ひっくり返したような格好ですから、言うなれば「産み上げる」、つまりお母さんが重力に逆らってより強く息まなければ産まれないのです。

三つ目は、産道の傷みが少ないと言うことです。
仰向けの場合、会陰といって膣口の裾に当たる部分に、赤ちゃんの頭の重みがのしかかった状態で出てきます。会陰に掛かる負荷が大きいため、赤ちゃんが出てくるときに会陰が裂けるとひどい傷になることがあります。その為、会陰切開といって医師が予め会陰にハサミを入れ、急に裂けるのを防ぐ処置も一般的です。

横向きに寝てのお産では、赤ちゃんの頭の重みは骨盤全体が均等に引き受け、重力が掛からないために赤ちゃんの出てくるスピードが比較的ゆっくりです。四つん這いの場合は恥骨が重みを支えるため、会陰への負荷ははとても小さくなります。その為、お産後に見られる会陰の傷は、無いか、有っても程度が小さくてすみます。

ハサミで切った会陰切開の傷は筋繊維や血管も切ってしまうため、しっかりと縫い合わせなければなりませんが、自然に裂けた小さな傷は、生木を裂くように、竹を割るように、筋繊維に沿って切れ、血管が切れることがほとんど無いので、傷から出血することがなく、縫い合わせなくても半月もあればとてもきれいに治ります。
当院でお産の方が1ヶ月健診の時に産科の先生から「初産だったのに切れなかったの?」と聞かれました。産後1ヶ月で、産科の先生が見て分からないほどきれいに治っていたと言うことです。会陰切開をして縫い上げた傷は、10年経っても歴然とそこにあるので、違いはいかほどでしょうか。

もう一つ、会陰の後ろには肛門があります。仰向けのお産では会陰と同じく直腸・肛門にも大きな負荷が掛かるため、お産でカリフラワーのようなひどい痔になる方が少なくありません。フリースタイル分娩では、会陰と同じく肛門に掛かる負荷も小さくなりますから、痔も防げます。もちろん、痔が出ないようにしっかりと肛門を押さえているからでもありますが、当院では開院以来、病院で見るようなひどい痔を作ったことはありません。

四つ目は、これが最も大切なことですが、赤ちゃんへのストレスが小さいと言うことです。
妊娠後期には多くの方が体験することですが、仰向けに寝ている状態から急に起き上がると、めまいや気持ち悪さを感じます。これは、大きくなった妊娠子宮が体の中心を通る腹部大静脈を押しつぶして下半身から心臓へ戻る血流が減り、上半身が貧血状態になるためです。

胎児はお母さんの骨盤内の血管から酸素や栄養を供給されています。仰向けに寝て息むと益々血管のつぶれが高じ、血液循環が滞ることで胎児への酸素供給が減ります。分娩台で産婦さんは息む前後に何度も深呼吸するよう指導されますが、これは息んでいる間に赤ちゃんへの酸素供給量が減るのを見越しての事です。分娩に長時間かかると、赤ちゃんへのストレスが蓄積して胎児仮死へと進み、酸素投与をしたり、吸引・鉗子分娩などでお産を急がなければならなくなるケースも少なくありません。前述の会陰切開には、赤ちゃんの出口を広げて産まれるまでの時間を短縮し、仮死を防ぐ狙いもあります。

フリースタイル分娩で体が仰向けではない体勢では、元々中心血管に妊娠子宮が乗っていないので、お母さんがどれだけ息んでも、赤ちゃんへの酸素供給量はいくらも変わりません。当院ではいわゆる分娩台に乗っているような状況で半日以上かかった方が何人かいらっしゃいましたが、胎児の心拍数などに異常は見られず、生まれた赤ちゃんにも仮死を思わせるような子は居ませんでした。赤ちゃんの心配をせずに、教えられて無理に息むのではなく、自然に来る息み感にのってゆっくりとお産に取り組むことが出来ます。またそうすることで、産道の傷みを防ぎ、産後を快適に暮らせることにつながります。

また、フリースタイル出産では、分娩台の代わりに夫・パートナーに支えられて・しがみついてのお産が多くなります。単に傍観者としての立ち会いでなく、「お産に参加している、役立っている」と実感することで「お父さん」の自覚が産まれ、子育てに積極的になる男性が多いのも、利点と言えるでしょう。

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